開発環境 ATDE2 のセットアップ

開発環境 ATDE2 のセットアップ

このドキュメントでは、アットマークテクノからリリースされているArmadiilo用の開発環境ATDE2にRTコンポーネントのためのクロス開発環境を構築する方法について説明します。 ここで説明する方法で設定済みの開発環境は ATDE2 for OpenRTM-aist として下記にてリリースされていますので、それを利用する場合は以下に説明する作業は不要です。 また、次の章「OpenRTM-aistのクロスコンパイル」についてもATDE2 for OpenRTM-aistでは実行済みですので不要です。

ATDE2 for OpenRTM-aist のインストール

ATDE (Atmark Techno Development Environment) 2は、Armadillo-200シリーズ用の開発環境です。 実体は、VMware上で動作する Debian GNU/Linux 4.0 (“Etch”)をベースにしたVMイメージです。 使用するにはPCにVMwareをインストールする必要があります。

ATDE2 for OpenRTM-aist は Armadillo-200 シリーズ上で動作する RTコンポーネントを開発するため、ATDE2にOpenRTM-aistと各種ツールを事前にインストールした開発環境です。

VMwarePlayerのインストール

ATDEを動作させるにはVMwareをインストールする必要があります。 VMwareはVMware, Incが販売している仮想PC環境で、WindowsやLinux (あるいはMac OS X上)、または独自のOS上で動作します。 VMwareにはいろいろなバージョンがありますが、ここでは無償で利用できるWindows版のVMware Playerを利用します。

まず、VMware Playerのインストーラをダウンロードします。

Webページの手順に従ってVMware Playerのインストーラをダウンロードします。 ダウンロードしたインストーラを起動し、指示に従ってインストールします。

vmwareplayer_install0.jpg
インストーラの起動

インストール後、再起動を求められますので再起動します。 再起動後、スタートメニューからVMware Playerを起動します。

vmwareplayer_install4.jpg
VMware Playerの起動

起動を確認したら、ひとまず右上の×ボタンを押し終了します。

ATDE2 for OpenRTM-aistのダウンロード

ATDE2 for OpenRTM-aist を以下のリンクからダウンロードします。

説明 ファイル名 MD5 サイズ
ATDE2 for OpenRTM-aist atde2_for_openrtm_20121005.zip cd22a133c1d77a8e8c87c36aad5e6886 1776 MB

なお、オリジナルのATDE2は、以下のアットマークテクノからダウンロード可能です。ATDE2インストールガイドは、ATDE2 for OpenRTM-aist のインストールにおいても参考になりますので、一読することをお勧めします。

※ATDEおよびドキュメントが更新されている可能性があるので、ATDEダウロードサイトでご確認ください。

ダウンロードしたZIPファイルを展開すると、atde2_for_openrtm というフォルダができます。

atde2_folder.png
ATDE2の展開

フォルダの内部を見てみます。atde2.vmx (種類:VMwre構成ファイルとなっている方) がVMwareの構成ファイルです。 このファイルをダブルクリックすると、VMware Player上でこの仮想マシン(VM)が起動します。

atde2_folder_inside.png
ATDE2フォルダ

ATDE2の起動とログイン

前述のように、ATDE2のフォルダ内のatde2 (種類:VMwre構成ファイルとなっている方, 実際のファイル名は atde2.vmx) をダブルクリックするとこのVMが起動します。

もう一つの起動方法としては、スタートメニューから VMware Playerを起動し

  • ファイル(F)
    • 仮想マシンを開く(O)

から、上記のatde2.vmx を指定する方法があります。

いずれかの方法で起動すると、以下のような画面が現れます。

atde2vm0.png
ATDE2 (Linux/Debian) の起動画面

VMwareの画面上をクリックすると、制御がVMwareに移ります。Enterを押すか、しばらく待つとLinux (Debian) が起動します。 起動すると以下のような画面が現れます。(起動中に画面中央に各種サービスの起動画面が現れ、update-notifierで止まることがあるかもしれませんが、クリックすると消えますのでそのまま進めてください。)

atde2vm1.png
ATDE2 (Linux/Debian) の起動直後の画面

ATDE2はデフォルトでユーザ名 atmark でログインした状態で起動します。 システムは以下のユーザアカウントおよびパスワードが設定されています。

ユーザ名 パスワード 権限
atmark atmark 一般ユーザ
root root 特権ユーザ

なお、非常に簡単なパスワードしか設定されていませんので、長時間起動しておく場合はパスワードを変更したほうがよいでしょう。 以下、安全な環境下で、開発時のみ短時間起動すると仮定して、上記の設定のまま解説を進めます。

ネットワーク接続の確認

VMがネットワークにアクセスできるか確認します。

アプリケーション->インターネット->Iceweaselウェブ・ブラウザ からWebブラウザを起動します。

atde2vm2.png
Iceweaselウェブ・ブラウザ

URLにopenrtm.org等を入力し、Webページが表示されることを確認します。

atde2vm3.png
openrtm.orgへアクセス

ネットワークにつながらない場合、
  • VMware Playerを実行しているPCがネットワークに接続されているか?
  • VMware Playerをインストール後再起動したか?
  • VMware Playerのメニュー仮想マシン(V)->取り外し可能デバイス(D)->ネットワークインターフェース にチェックマークがついているか? 等を確認してください。

システムのセットアップ

ATDE2 for OpenRTM-aist では、以下の設定がすでに行われていますので不要です。 次のRTコンポーネントのクロスコンパイルの項に進んでください。

アットマークテクノが配布しているオリジナルのATDE2を自分で一からセットアップする際の参考にしてください。

ATDE2を利用するために、いくつか必要な事項を設定しておくと便利なのですが、以下の一括設定スクリプトを利用すると、簡単にセットアップができます。 なお、このスクリプトで行なっている詳しい内容についても説明します。

一括設定スクリプトによるセットアップ

一括設定スクリプトを使用すると、
  • sources.list の修正
  • sshのインストール
  • sambaのインストール・設定 を一括で行うことができます。

こちら一括設定スクリプトをダウンロードします。 ダウンロードしたスクリプトに実行権限を与え、実行します。

 atmark@atde:~$ wget http://svn.openrtm.org/Armadillo/trunk/atde2/tools/atde2setup.sh
 atmark@atde:~$ chmod 755 atde2setup.sh
 atmark@atde:~$ ./atde2setup.sh
atde2setup0.png
一括設定スクリプトのダウンロード

現在のパスワード (atmark) を求められますので入力します。

 atmark@atde:~$ ./atde2setup.sh
 [sudo] password for atmark: パスワードを入力
   :
  パッケージデータベースの取得
   :
 Do you want to install ssh? (y/n) <- yを入力
   :
 以降全てyを入力
 ワークグループはデフォルトのWORKGROUPでOK
 WINSの質問に関してはデフォルトのNO
   :
 New SMB password: atmark
 Retype new SMB password: atmark
   :
 Stopping Samba daemons: nmbd smbd.
 Starting Samba daemons: nmbd smbd.
 atmark@atde:~$

以上で、基本的設定は終了です。以下、スクリプトで行なっている内容を自ら行う場合の作業手順を示します。

source.listの編集

公開されているATDE2の環境では、パッケージのリポジトリのURLが古いため、そのままではapt-getなどでパッケージを取得することができません。 以下のように、/etc/apt/soruces.list を編集する必要があります。以降の作業を行うために、この作業は必ず行なってください。

 $ sudo cp /etc/apt/sources.list /etc/apt/sources.list.org
 $ sudo sed -i 's/ftp.jp/archive/g' /etc/apt/sources.list
 $ sudo apt-get update

sources.list を source.list.orgとしてバックアップを取り、sources.list内の ftp.jp を全て archives に置換しています。 その後、apt-get update でデータベースを更新しています。

sshのインストール

必須ではありませんが、sshをインストールしておけば、TeraTermなどでログインして作業を行うことができます。 通常、VMwareのゲストOSからホストOS、またはその逆にコピー&ペーストができないので、ターミナルで接続して作業するほうが便利な場合があります。

 $ sudo apt-get install openssh-server
 # パスワード: atmark を入力
 # すべてYと答える

次に、このゲストOSのIPアドレスを調べます。

 atmark@atde:~$ /sbin/ifconfig eth0
 eth0      Link encap:イーサネット  ハードウェアアドレス 00:0c:29:df:22:59 
           inetアドレス:192.168.0.2 ブロードキャスト:192.168.0.255  マスク:255.255.255.0
           inet6アドレス: fe80::20c:29ff:fedf:2259/64 範囲:リンク
           UP BROADCAST RUNNING MULTICAST  MTU:1500  メトリック:1
           RXパケット:70593 エラー:0 損失:0 オーバラン:0 フレーム:0
           TXパケット:20438 エラー:0 損失:0 オーバラン:0 キャリア:0
       衝突(Collisions):0 TXキュー長:1000 
           RXバイト:17346973 (16.5 MiB)  TXバイト:11133415 (10.6 MiB)
           割り込み:18 ベースアドレス:0x2024 

192.168.0.2 がこのゲストOSのアドレスです。TeraTermなどで、このアドレスにsshで接続してみます。

teraterm_address.png
TeraTerm で接続する

TeraTermの場合、known hostにこのホストを追加するかどうか尋ねられますので、Yesと答えて次に進みます。 IDとパスワードをたずれられますので、上と同様にatmark/atmarkと入力します。

teraterm_login.png
ログインする

teraterm_loggedin.png
ログイン後の画面

なお、DHCP接続の場合、IPアドレスが起動毎に変わる可能性があり、sshで接続する際に毎回IPアドレスを使用する必要があるかもしれません。 その場合、ネットワーク接続方式を「ブリッジ接続」から「NAT」にし、固定IPアドレスを設定すると便利です。 /etc/network/interfaces を以下の例ように書き換えることで固定IPアドレスを設定することができます。

 auto eth0
 iface eth0 inet static
   address   192.168.0.2
   network   192.168.0.0
   netmask   255.255.255.0
   broadcast 192.168.0.255
   gateway   192.168.0.1
   dns-nameservers 192.168.0.1

なお、詳細についてはLinuxおよびDebianの参考書、Webページを参照してください。

sambaのセットアップ

VMwareのホストOSがWindowsの場合、ホストOSとゲストOS間でファイルのやり取りをしたいことがよくあります。 例えば、ゲストOSでコンパイルしたバイナリを、Armadilloで実行する際にUSBメモリにコピーする場合、ゲストOSで直接USBメモリを読み書きすることもできますが、Windows上でゲストOSからUSBメモリへファイルをコピーしたほうが便利なこともあります。

ゲストOSにSambaをインストールしておけば、簡単にゲストOSのファイルを操作することができます。

まず、sambaをインストールします。Sambaインストール後に、Sambaのコンフィギュレーションファイル /etc/samba/smb.confのバックアップをとっておきます。

 atmark@atde:~$ sudo apt-get install samba
 atmark@atde:~$ sudo mv /etc/samba/smb.conf /etc/samba.smb.conf.org

ホームの下に、smb.conf という名前で以下の内容のファイルを作成します。

 [global]
    workgroup = WORKGROUP
    server string = %h server
    dns proxy = no
    log file = /var/log/samba/log.%m
    max log size = 1000
    syslog = 0
    panic action = /usr/share/samba/panic-action %d
    encrypt passwords = true
    passdb backend = tdbsam
    obey pam restrictions = yes
    unix password sync = yes
    passwd program = /usr/bin/passwd %u
    passwd chat = *Enter\snew\s*\spassword:* %n\n *Retype\snew\s*\spassword:* %n\n *password\supdated\ssuccessfully* .
    pam password change = yes
 [homes]
    comment = Home Directories
    browseable = yes
    read only = no
    create mask = 0755
    directory mask = 0755
    valid users = %S

バックアップをとったファイルの代わりに、上記の内容のファイルを /etc/samba/以下にコピーします。

 atmark@atde:~$ cat > smb.conf
 # 上の内容をコピペ、Ctrl+Dを押す。
 atmark@atde:~$ sudo cp smb.conf /etc/samba

atmarkというユーザのパスワードを設定します。

 atmark@atde:~$ sudo smbpasswd -a atmark
 # パスワード: atmark を入力

sambaサービスを再起動します。

 atmark@atde:~$ sudo /etc/init.d/samba restart

これで、samba経由でゲストOS上のファイルをWindowsから操作できるようになりました。 Windowsでエクスプローラ(≠インターネットエクスプローラ)を起動します。(マイコンピュータをクリック or Windowsキー+e)

先ほど調べたIPアドレス (上の例では 192.168.0.2) の前にマークを2つつけて、エクスプローラのアドレスバーに入力します。

 \\192.168.0.2
smb_connectioin.png
エクスプローラによる接続

初回接続時にはIDとパスワードが訊かれますので、先ほど設定したIDとパスワード (atmark/atmark) を入力します。

smb_login.png
エクスプローラによる接続

自分のホームフォルダがatmarkおよびhomeという名前のフォルダとして参照できます。

smb_homefolder.png
ホームフォルダ

以上でATDE2の基本的設定は終了です。

ダウンロード

最新バージョン : 2.0.1-RELESE

統計

Webサイト統計
ユーザ数:2195
プロジェクト統計
RTコンポーネント307
RTミドルウエア35
ツール22
文書・仕様書2

Choreonoid

モーションエディタ/シミュレータ

OpenHRP3

動力学シミュレータ

OpenRTP

統合開発プラットフォーム

産総研RTC集

産総研が提供するRTC集

TORK

東京オープンソースロボティクス協会

DAQ-Middleware

ネットワーク分散環境でデータ収集用ソフトウェアを容易に構築するためのソフトウェア・フレームワーク